I/O Editor

I/O EDITORは知的生産のための個人知識管理ツール

知的生産において「明確な文章を書く能力」が重要な基盤であると考えました。

多くの人にとって、文章を書くプロセスで最も難しいのは、頭の中の混沌した思考やアイデアを整理することです。 伝統的なアウトラインや情報カードの技法は、わずらわしい作業が必要でしたが、コンピューターテクノロジーの進歩によりこれらの技法は私たちの知的能力を拡張し、漠然とした思考やアイデアを「具体的で明瞭な文章」へと変換するプロセスを効率化するための強力な技法へと変わりました。

I/O EDITORはデジタル化された「アウトライナー」と「情報カード」の技法を組み合わせて作られた「知的生産のためのシンプルな個人知識管理ツール」です。

アウトライナーは思考を整理するための便利なツール

ものを考えるとき「いきなり完成したアイデアを思いつく」という人は少ないと思います。多くの場合、最初は漠然としたイメージや、2~3の気に入った思いつきがあるだけだったりするものです。

これらの「明瞭ではない着想」から論文・企画書・小説など「具体的な知的生産物」へと仕上げるには、最初のアイデアに徐々に肉付けをしていったり、削ったり、構成を組み替えたりする必要があります。

アウトライナーを使うことで、文章の大まかな流れや必要な要素を特定し、それらの要素が文書の全体構造にどのように適合するかを確認していくうちに自分の思考が整理されていきます。

「文章の乱れは思考の乱れ」とも言われます。文章をうまく書けない場合は、思考が整理されていないかもしれないので、アウトライナーを使うことで「明確な文章」が書けるようになるかもしれません。

情報カードを個人知識管理ツールとして使う

I/O EDITORは、個人知識管理のメソッドとして「Evergreen Notes」を採用しています。これは「ツェッテルカステン」を近代化したものです。

ツェッテルカステンはドイツの社会学者ニクラス・ルーマンさんによって考案された「アナログの情報カード」を使った知識管理システムです。彼はこのシステムを研究のパートナーとして、約40年間に渡る研究活動の中で70冊以上の本と400近くの学術論文を出版するという偉大な知的生産を行いました。

ツェッテルカステンは「さまざまな方法でリンクして整理できる小さな情報カード」をたくさん作成することを基本としています。関連する情報を簡単に見つけて接続できることを何よりも重視しているのです。

そのようにして作成された情報カードを色々関連付けたり、組み替えたり、並び替えたりしているうちに一見なにも関係ないように見えるカードとカードの間に思いもかけない関連性があることに気がつきます。そしてその気づきが新しい知識や発想を産み出します。

「情報カード」は自らの知識が凝縮した資産です。一枚一枚を効果的に書き上げれば、数年で驚くべき資産が積み上がっていることに気がつくでしょう。その資産を組み合わせることで知識は複利で増えていきます。ツェッテルカステンとは「綿密にリンクされた情報カード」を資産として知的生産を行っていく個人知識管理システムと言えます。

情報カードを更に有効活用する「Evergreen Notes」という考え方

Evergreen Notesはツェッテルカステンの概念をさらに進化させて「ノートはコンセプト志向で書く」「他のノートとさらに密接にリンクさせる」「APIのようなノートタイトルをつける」というような条件を付与することで、ノートをより有効利用しやすいようにとデジタル時代に適合して現代化したものです。(※ノート = 情報カード)

ノートを「使い切り」のものにするのではなく「いつまでも使えるノート(エバーグリーンノート)」にすることで、ノートの再利用率を高め、有効活用していくことを目指すというコンセプトです。

「いつまでも使えるノート(エバーグリーンノート)」は一朝一夕に完成するものではありません。知識は他の知識と「リンク」することで理解が深まっていく性質を持っているため、知識を深めるためには関連する知識についても理解を深めていくことを必要とします。エバーグリーンノートは、たくさんのノートが他のノートと関連付けされながら少しずつまとまり進化しながら出来上がっていきます。

Evergreen Notesは、ノートを「常にメンテナンスし続ける(整理・保守・育成)」していくことで、新しい豊かな知識を生み出せるようになっていきます。

情報カードをアウトライナーで管理するアイデアを「ノートリンク機能が付いたアウトライナー」で実現

Evergreen Notesのコンセプトに基づいてエバーグリーンノートを作っていくと、どんどん「使い続けられるノート」が増えていきます。 大変素晴らしいことですが、ノートの数が増えるに従い「増えたノートをどうやって管理するか」という問題が発生します。

その問題を解決するために、エバーグリーンノート(情報カード)をアウトライナーで管理するというアイデアを思いつきました。ノートを「思考が凝縮されたもの」と考えると、アウトライナーで思考を整理するのと同様に、ノートも上手に整理できるのではと考えたのです。アウトライナーは構造を柔軟に変更することを最も得意とします。

このアイデアに基づいて、I/O EDITORは「ノートリンク機能が付いたアウトライナー」として開発されました。アウトラインで構造が作ると同時に、ノート間を接続するリンク機能も使えるというものです。

「アトミックノート」と「構造ノート」という性格の違う2種類のノートを組み合わせる

なぜ「ノートリンク機能が付いたアウトライナー」を使うと、エバーグリーンノートをメンテナンスし続けられるのでしょう?(ノートの整理・保守・育成を含む)

それは「アトミックノート」と「構造ノート」という2種類のノートを組み合わせて管理するというEvergreen Notesのコンセプトを実現するのに非常に適しているからです。

アトミックノートは「一つのノートに一つの要素だけが書かれたシンプルなノート」のことです。これ以上分けることができないと考えられる一つの要素(アイデアやコンセプトなど)だけを書くようにします。

さて、アトミックノートを書いたら、それはどこに格納しておきましょう?

どこに格納したか分かりやすくするためにパソコンのフォルダのように階層構造を作って格納しますか?答えはNoです。一つのノートは一つのフォルダに格納しないといけないような窮屈で融通のきかない格納方法はやめておきましょう。

思い切ってどこからも参照されるように一つの箱に全部入れてしまいましょう。 そんなことしたら、ノートの数が増えてきたらたいへんなことになると思うかもしれませんが大丈夫です。そのための構造ノートです。

構造ノートは、他のノートのリンク集のようなものです。特定の目的や文脈をコンセプトとしたノートを作成し、そこに関連するアトミックノートのリンクを貼っていくことで「一つのノートは一つの箱にしか格納できない」といった階層構造のきゅうくつで融通がきかない制約から開放し、抽象的なレベルで複数のノートを束ねて自由に構造化したり、ノート群に特定の文脈を与えることができるようになります。

Evergreen Notesでは主に下記の2種類の方法でノート間の関連付けをおこないます。

  1. アトミックノート間で直接関連付ける(新しい発見につながる)
  2. 構造ノートにリンクを設置して関連付ける(ノート群を束ねて特定の文脈を与える)

「ノートリンク機能が付いたアウトライナー」を使うと、構造ノートにノート群を簡単にリンクすることができます。そしてそのリンクを自由自在に並び替えたり組み替えたりすることもできます。さらには、構造ノート自体の構造も同様に極めて楽に編集することができます。

アトミックノートでノートの内容を一つの要素に制限し、構造ノートによってノート群の構造を定義することで「単体のノート」は「ノート全体の構造」から切り離されます。独立した原子性を持つノートは、他のノートとの関連付けが容易になり、再利用しやすくなります。知識の更新に伴うノートや構造のメンテナンスもより簡単になります。

そのようにして、Evergreen Notesのコンセプトを実現していくのです。

個人知識管理ではノートがひんぱんに読み返されることが何よりも大事です

ノート同士が深い繋がりがある(密にリンクされている)場合、一つのノートを読む時、他のノートも自然と読み返されます。そのため、多くのノートがひんぱんに読み返されるようになります。

ノートを読み返すと、そのノートを書いた時に比べて知識がアップデートされているかを確認できます。アップデートされている場合、ノートを書き直すことで最新の知識に沿った情報を個人知識管理システムに反映することができます。 また、関連付けられているノートも同時にアップデートされるので、個人知識管理システムの全体的な整理がスムーズに行われます。

ノートは一度に書き換えられるのではなくて多くの部分を残しながら徐々に進化して、洗練されていきます。 知的生産では、幅広い知識を持つことよりも、新しい視点で知識を再構成する能力が重要です。 これは、新しい視点から知識を再構築することによって、新たな洞察を発見することができるからです。そのために、知識を深く理解して自在に使いこなすことが必要であり、それを達成するための有効な手段の一つとして、ノートをひんぱんに書き直すことがあげられます。

ノートをひんぱんに書き直すためには、ノートを孤立させないようにすることが大切です。孤立したノートは思い出すこともできないからです。思い出せないノートは決して書き直されることもありません。そのために、ノートに「適切な手がかり」を設け、ノートが必要な時に思い出せるようにすることが重要です。

「適切な手がかり」を設置することによって、ノートは自然と読み返され、書き直されるようになります。こうすることで、知的生産に必要な素材が個人知識管理システムに蓄積され、知的生産の優れた基盤として活用できます。

よくできた個人知識管理システムは、ひんぱんにノートが読み返され、書き直され、組み替えられることを通じて、知識を使いこなせるようになるまで手になじませ、そこから新しい発見を生み出されるようなものです。

文章を書くために必要な下拵えされた素材が揃いました

構造ノートはトピックノートということもできます。特定のトピックについて設計書を書き、アトミックノートを素材として組み上げていくイメージです。 一つの要素について書かれたパラグラフを組み合わせて、論理を展開していく文章技法の「パラグラフライティング」とも似ています。

Evergreen Notesを提唱したAndy Matuschakさんは、「エバーグリーンノートをたくさん書いているのであれば、執筆作業は作曲というよりも編集に近いものになる」と表現しています。

テーマは「一冊の本のタイトル」、構造ノートの集合は「本の目次」、アトミックノートは「文章のパラグラフ」のようになり、あたかも個人知識管理システムの中に蓄積されているものだけを使って一冊の本を書き上げることができるかのようにすべてが調和するのです。

このシステムは記憶のサポートをするだけでなく、ノートの再利用、リミックス(複数の既存のノートを再構成したり様々な加工を加えることによってそのノートの新たなバージョンを生み出すこと)、再文脈化を通じて、既存の知識が陳腐化を防ぐだけでなく、新しいアイデアの発想や洞察を生み出すことにも役立ちます。

ツェッテルカステンという個人知識管理システムを研究のパートナーとしたニクラス・ルーマンさんが、多くの書籍と論文を知的生産できたのも、このような働きのサポートがあったからでしょう。

個人知識管理を楽にすることで「知的生産を楽に楽しく」したい

”鍛えるのが「楽しく」ないと駄目だ。楽しければ続くし、続けば伸びるからだ”

あることを長い間続けていると、そのことに習熟し熟達するものです。知的生産においても同様でしょう。I/O EDITORの開発者には「個人知識管理が楽だと、知的生産も楽になる」という信念があります。

なにかが「辛い」ときは、何かしらの大きな負荷がかかっているからです。ではその大きな負荷をシステムによって軽減することができれば、「辛い」ことから「楽なこと」にできるのではないでしょうか?そして人間は成長を楽しむことができます。大きな負荷がなくなれば楽しむこともできると思うのです。

例えば一晩寝たり、他のことをするたびに人間の思考はリセットされてしまいます。昨日の続きを思考しようとしても、またそこまで立ち上げるのは以外と苦労するのです。そこで個人知識管理ツールを使うと、比較的楽に「昨日のつづきから」を始めることができます。思考に継続性を持たせることができるのです。そして続けば伸びるでしょう。続けば成長を楽しむことができます。

そうして楽しめれば、続きますし、成長していくこともできるでしょう。

I/O EDITORは、「ノートリンク機能が付いたアウトライナー」として、あなたの知的生産を楽に楽しくするためのサポートしたいと思っています。目指すビジョンとしては「脳の制約を補うために思考するための信頼性が高くシンプルな外部構造」です。